半円のアーチ状の小型のクリスマスピラミッド。星空とモミの木・教会・聖歌隊があしらわれています。ろうそくの炎でプロペラが回ると、教会もくるくるとまわります。
燭台は背の低い丸ろうそく専用で、アーチの表側と裏側に一つずつあります。裏側だけにろうそくをともすと、月や星がうっすら明るく見えるのも素敵ですね。
本製品は幅20cm、高さ約18cmとかなり小型。プロペラ径約21cmです。重心が低く、キャンドルも丈の低いティーライトのため、安定しているのも良い点です。
クリスマスピラミッドはロウソクの熱で風車が回る木工工芸品で、クリスマスツリーの変わりとして使用され長い歴史を持ちます。この製品が生まれたのは、チェコとドイツの国境にある北緯50度の小さな村ザイフェン。おもちゃと共に美しい燭台など多くの木工工芸品が生産されています。短い日照時間・深い森・暗闇と共に生きる人々の光を尊ぶ心と、家族や生活への愛情に思いを馳せるのもよいですね。
同時に燃焼・熱・空気の比重・風・回転エネルギーへの変換、様々な学びの要素を手のひらで感じさせてくれるインテリアでもあります。物を焚いて何かを回すのは産業の原点ですね。サイエンスと文化の両方を感じさせてくれる美しいインテリアです。
おもちゃの村 ドイツ ザイフェン
About Seifen
ザイフェン村(Seiffen)は人口約2300人で面積は12.4km2。日本でも20km2以下の市町村は全体の10%程度ですから、かなり小さい事がわかります。この小さな村の周辺に大小150を超える工房があり、高い木工技術を生かした製品を世界中に送り出しています。クリスマスシーズンには村をあげてのクリスマスマーケットが開催され、世界各国から人々が訪れます。村全体がおもちゃの村として観光資源となっています。
ザイフェン村はチェコとドイツの国境にあるエルツ山地に位置します。美しい国立公園にも指定されているエルツ山地は長さ150km、標高800~900m、丘陵と牧歌的な畑地・深い森林が広がる光景が印象的です。北緯50度は日本の近くでいったらサハリンの真ん中くらい。年平均気温は3~5℃、年間を通じて日照時間は短く冬は長く、美しさとは裏腹に厳しい土地です。
エルツ山地は鉱山で栄えた土地で、その歴史は中世までさかのぼり12世紀には銀、13~14世紀には鉛・亜鉛・スズ・石炭が発見され発展しました。チェコ側はボヘミア→スズ→ブリキ、ボヘミア→ガラスを連想する方もいらっしゃるかも知れません。ザイフェンにはスズ鉱山があり川底から集めたスズ鉱石を比重で選別するために“洗う(seifen)”ことに由来すると言われています。
鉱山業は17世紀頃から衰退をはじめ、盛んになったのが木工工芸と言われています。工夫の持っていた技術が木工工芸へと転用され、ろくろを使ったボタンや木皿といった日用品から始まり、スズの採掘が終了する19世紀ごろには、より美術性の高い工芸品や玩具へと発展してきた歴史があるそうです。これほどの長きに渡り、村を挙げて木工工芸に取り組んできたことで磨かれた技術と品質。現在では世界が認めるザイフェン品質となっています。
クリスマスピラミッド、天使と鉱夫などの燭台、様々な職業をモチーフにした煙吐き人形や、有名なクルミ割り人形など、この地域の歴史的・文化的・宗教的な背景を伺わせる独特の製品群が特徴です。現在ではメルヘンチックなザイフェン村ですが、その長い歴史の中では、主力産業の衰退、取引仲介業者の利益優先、子供の労働など様々な問題も経てきたそうです。厳しい土地と歴史の中で生き抜いた作り手の人々に思いを馳せてみてください。各工房の特色が色濃く出ている点もザイフェン製品の魅力の一つです。ザイフェンとひとくくりにせず、あなたのお気に入りの工房を探すのも良いですね。